「趣味は読書」と履歴書に書けるか?

趣味欄*1に「読書」と書くべきか否か。
毎回履歴書を書くたびに悩んでいることでもある。



たぶん、ぼくの趣味は「読書」といって差し支えないはずだ。
まあだいたい月に十冊前後は読む。三十冊前後は買う*2
Amazonの欲しい物リストはパンパンに膨れ上がっているし、書店や古本屋に立ち寄ると高鳴る胸を抑えられない。好きな作家の単行本がようやく文庫化されたと言っては舞い踊り、分冊されて単行本と値段が変わらないと聞いては嘆き悲しむ。
どうしても欲しかった絶版本を古本屋で見つければ大喜びし、欲望に負けてマーケットプレイスに発注してしまったときにはなんだか負けたような気分になる。
満を持して復刊されたカルト作品のあまりの高値に憤慨し、全集本のあまりの高値に絶望する。社会人になったら絶対に買ってやるからな、と捨て台詞を吐く。
膨れ上がった積ん読タワーを崩し、なにげなく買ってあった本が面白いことに気付いたときには、過去の自分を抱きしめてやりたいほど愛おしく思う。
バカでかい本棚に、ずらり並べられた未読本と、ひっそり並べられた既読本を深夜に眺め、いつかそのページを繰る日を夢見てフフフフフと気持ちの悪い笑みを浮かべる。


そういうことが、なにより楽しい。
趣味は読書、と言えるはずだ。


しかし。
しかしだな。
履歴書という奴は、企業にアピールするための書類だ。そういう自分のオタク気質を晒したところで、なんのアピールになるのか、という疑問が拭えない。むしろマイナスなのではないか、とさえ思う。


そもそも、読書、というのは個人的なもののはずだ。
昨今では活字離れ活字離れと叫ばれていた余波のせいで、本を読むのは感心なことであるくらいに考えている人が多い。だが、実際にそれにのめり込んでしまっている側から言わせてもらうと、読書なんてものは教養でもなんでもない*3
あれは、後ろ暗い楽しみなのだ。
一人で見も知らぬ他人の人生を眺め、ニヤニヤしたり腹を立てたり、突如として涙をこぼしたりする。傍から見たら、正直気持ち悪い。
そんなに気持ち悪い奴と、本当に一緒に働きたいのか。


いや、ぼくは働きたいけど。気が合うだろうし。

*1:シュミランって書くと、ミシュランみたいだよね。

*2:おかげで積ん読が膨れ上がって仕方ない。

*3:語弊があるかもしれないから付記しておくけど、ここでぼくが言っている読書というのは小説を読むことである。