なんてことない日常

純文学で「なんてことない日常」を描く場合、その姿勢はネガティブだ。
「生きづらさ」を感じるひとびとが描かれる。
読者は作品中の「現実」を通して、もう一度、この問題についてじぶんなりの考えを巡らせる。
それが純文学のひとつの効能だ。


エンタメで「なんてことない日常」を描く場合、その姿勢はポジティブだ。
「ふつうに生活することのすばらしさ」が描かれる。
読者は作品中に提示された「理想」を通して、じぶんの生きるべきロールモデルを発見する。
それがエンタメのひとつの効能だ。


どちらを書かされるか、といえば、前者だ。
衝動によって筆は走る。


どちらを書きたいのか、といえば、後者だ。
情熱によって筆は走る。